生き物は、誕生を選べないわ。どんな生き物も、生まれ落ちた場所で生きていくしかない

「……生き物は、誕生を選べないわ。どんな生き物も、生まれ落ちた場所で生きていくしかない」

 頰を離し、エリンはささやいた。

「──あなたは、自分の生に、後悔しかないの……?」

『獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)』(上橋菜穂子 著)より

AmazonのKindleで4部作と外伝を一気読みしました。

同じ作者の「鹿の王」は素晴らしい作品でしたが「獣の奏者」はアニメ化されていたことから児童書と思い、手に取らず仕舞いでいました。

ひとりの女性の一生とその闘いを通して、幸せとは、親とは、子とはを考えさせてくれる作品であり、「核兵器」を連想させる王獣は戦争の虚しさ、人類の知恵と奢りについて気づきを与えてくれます。児童書ではまったくありませんでした。

外伝、あとがきに本作が生まれた順番について記載がありますが、「闘蛇編」と「王獣編」で一度は完結した作品にのちに「探究編」「解決編」を加えより豊かに主人公の生を描き切ったものです。「鹿の王」は物語として一級でしたが、「獣の奏者」はテーマの明確さ、帰結の明確さから作品としての完成度は上を行くものなのではないでしょうか。

Amazon.co.jp : 獣の奏者

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