実のところただ、若くあることの別の方法を見出していたにすぎなかった。

とにかく友人達を恐れ入れさせようと片っ端からいろいろなことをやった。十八歳とは恐ろしい年齢である。自分はクラスメートの連中よりも大人なんだ、と僕は訳もなく確信して振る舞っていたが、実のところただ、若くあることの別の方法を見出していたにすぎなかった。

ムーン・パレス ポール・オースター 柴田元幸訳 p.33

うぅむ、独白が延々と続くスタイル。村上春樹などで馴染みのある形式だけれど、まず長い。前半はそれで少し読みためらう。

それでも、主人公の目を通した世界は、妙な既視感があり、すんなりとこちらに入ってくる。わくわくするものでないが、語り上手なのは間違いない。

中盤以降、その展開はこちらの予想を遥かに上回るもので、鮮やかであるとともに、大人に向かっての彷徨を見事に語り尽くす傑作。

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