君は悲惨な物語のハッピーエンドなんだよ。

しばらくは愛しあっていたけれど、そのあと何もかもがひどくなった。それでもおたがい長いこと耐えて、ひどい夫婦であれとにもかくにも君が生まれた。君は悲惨な物語のハッピーエンドなんだよ。

ブルックリン・フォーリーズ ポール・オースター 柴田元幸訳 p.345

人生の幕切れを意識したひとりの男。諦めと無為で惰性で送る日々が、人とのつながりで再生されていく。人生を愛おしく感じさせる本作。

ちょうど最近見終わった米国のテレビドラマシリーズ「Elementary」はコナン・ドイルのシャーロック・ホームズを現代、ブルックリンに舞台を置き換えた作品でした。現代ニューヨークの風俗、ドラッグをはじめとする社会問題、人間模様の多様性など、ここ日本の自分の位置からみると彼我の違いに驚かさせることが数多ありましたが、本作も同様に現代アメリカの都市部のライフスタイルの一端を伺い知ることができる作品でした。

エンディングについて、作家自身が必然と思い描いたのであれば必要な描写なのでしょう。人は意思を持って人生を切り拓けるという視点と、誰もが避けることができないどうしようもない運命の中に人生はあるのだという諦観を主人公、作者が感じているのではないかと思い、本書を閉じました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました