問題は、その境目を超えたとき、自分がどう対処するかなのです。

言葉

本書がユニークなのは、(つい最近まで停滞したままだった)宇宙開発が「順調に進んでいたら」という夢と、性差別と人種差別に対する異議申し立てという二つのテーマを、「歴史改変SF」という形で、まさにそれが大きな問題として人々の目の前にあらわとなった一九五〇〜一九六〇年代を舞台に散りばめて描いていることだ。

『宇宙へ』下巻 メアリ・ロビネット・コワル p.400 評論家堺三保による解説文より

私たちは日々、たくさんの境目に遭遇しています。たんにそれとは気づいていないだけで。境目自体は問題ではありません。これからもつねに“以前”と“以後”はあるでしょう。問題は、その境目を超えたとき、自分がどう対処するかなのです。

『宇宙へ』上巻 メアリ・ロビネット・コワル p.189

「もし」の世界観で進行するストーリーで描かれるのは単なるフィクションでなく、置き換えられた設定の中で浮き彫りになった現実でもある差別の問題。

SFながら、主人公が闘う相手は異星の知性でも、過酷な天変地異でもなく(舞台設定は大きな天変地異ですが)、女性として、人間としての生きづらさであり、その困難に立ち向かう冒険。男性としては気がつかない(あるいは無視していた)事実に胸が苦しくなる。

度々描かれるパートナーが主人公(女性)にドアを開けてエスコートするシーン。ジェントルなんだけれど、ジェンダー平等の目線ではどうなんだろうかと考えさせられた。相手を気遣う意味ではありなのか、余計なお世話なのか。スマートと思っているのは男性目線の驕りなんだろうな。

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